【側弯症と胸椎の後弯の重要性】
側弯症の特徴の一つは、通常の脊柱が「S」字のように湾曲していることです。医学的には「生理的湾曲」と呼ばれます。具体的には、頚部(首の部分)と腰部(下腹部の部分)は前に曲がり、胸部は後ろに曲がっています。
しかし、側弯症ではこの胸部の後弯がなくなることが特徴です。側弯症の脊椎の主要な偏位は、名前にもあるように横方向(側屈)にあります。研究者たちは、この変形を助長する要因の一つとして、胸部の後弯の減少が関連している可能性を考えています。
構築性側弯症は遺伝的な要因が大きいと言われていますが、機能的または習慣的な側弯症においても胸部のフラット化が共通して見られるため、興味深い関連性があります。たとえば、バレエを習っている人の中で側弯症の発生率が高いとされていますが、バレエを習う人たちの中には胸部がフラットな姿勢や動きをすることが多いです。
なぜ後弯が変形を助長するのかについては仮説ですが、後弯が少ない場合、脊椎の前方部分に体重の圧力がかかります。しかし、後弯が減少すると、この圧力は徐々に後方に移動します。これにより、本来動きの場所である椎間関節に負担がかかり、動きが助長される可能性があります。このため、様々な要因が関与しているかもしれませんが、胸部の後弯は変形を促進する要因として考えられます。
この仮説から考えると、幼少期の這い這いや乳児期の姿勢が重要であると仮定されます。親が抱く方法や、座る姿勢も影響する可能性があります。床ばかりに寝ていると、体が反る姿勢が習慣化するかもしれません。これらの仮説は、子育てをする立場から考える自然な発想です。
ちなみに、姿勢が咬合(かみ合わせ)に影響を与えるという話も、同じような視点から注目されています。
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